投資信託 金利を徹底解剖&解説

好調なのは輸出だけではなかった。 内需の盛り上がりも旺盛で、「3C」と呼ばれたカ、クラ(エアコン)、カラーテレビの新しい「三種の神器」が登場し、国民の購買意欲をそそった。
六七年当時、サラリーマンの平均年収は五五万円だったが、銀座では年間四〇〇万円を稼ぐ人気ホステスも現れ、話題になった。 乗用車の生産は六五年の七〇万台から、七〇年には三一八万台と五倍、カラーテレビも同様に九万八〇〇〇台から六四〇万台と驚異的に伸びた。
六九年、米国のアポロ13号が人類はじめて月面に着陸した模様は、多くの国民がカラーテレビで見たものだった。 また、六〇年代前半に次々と登場したスパマーケットの躍進が著しく、六九年ごろになると百貨店の売上高と同じになった。
六二年に発表されたH氏の『流通革命』は大ベーストセラになり、量販店の〃(「3C」のほか、電子レンジ、ステレオ、カメラ、電卓など、さまざまな耐久財が次々と登場し、現代のハイテク機器の隆盛につながる技術革新が、非常な勢いで進行したのである。 これは、当時はあまり意識されなかったが、日本の場合、米国などと異なり、技術革新が軍事用でなく民生用に向かったことが、こうした耐久財の普及に大きく貢献したといわれている。
当初はうまくいかないスーパーも多く、「スーツと現れてパツと消えるからスーパー」などと陰口を叩かれたが、「いざなぎ」になって業態は安定した。 「価格破壊」を掲げて既存の小売業に挑戦状を突きつけたダイエをはじめ、スーパー各社は「大量仕入れ、大量販売」による徹底した安売り路線で消費者の心をつかんだ。
しかし、価格の維持を死守するメーカーとの〃全面戦争〃には至らず、「共存共栄」の道を歩みながら規模拡大を図ったのである。 一方、この時期は資本自由化が本格化した時期でもあった。

六四年、日本は「先進国クラブ」の経済協力開発機構(OECD)に加盟。 OECDの資本自由化領に沿って、自由化を迫られたためだ。
このため、六七年から数次にわたる自由化を順次実施し、自動車、不動産、小売業、電算機、証券などの分野が次々と自由化された。 しかし、当時は、BM、GMなど米国をはじめとする巨大な多国籍企業が全盛期にあり、ヘタに自由化すると、規模の小さな日本企業などは多国籍企業に飲み込まれてしまう心配が強かった。
このため、「少しでも大きな図体に」というわけで、大型の企業合併が相次いだのもこのころである。 六四年、新三菱重工業、三菱日本重工業、三菱造船の三社が合併して現在の三菱重工業が生まれ、合併ブームの先鞭をつけた。
最も話題を呼んだのは、六九年に調印された八幡、富士の合併で誕生した新日本製織である。 このほか、日産自動車とプリンス自動車工業(現日産自動車)、日本レイョンとニチボ(現ユニチカ)などもある。
メーカーだけではない。 商社も日商と岩井産業(現日商岩井)、兼松と江商(現兼松)などが相次ぎ合併した。
金融界はやや遅れ、第一銀行と日本勧業銀行(現第一勧業銀行)が七一年に合併したのが大型合併の最初である。 結果だけを見れば、その後の日本経済の発展と日本に特有な市場構造などから、外国企業の進出は大したことにならず、やや騒ぎすぎの感もあった。
それどころか、後になって「日本市場は非関税障壁が高くて問題だ」と外国に市場開放を迫られるようになる。 「いざなぎ」のころは、社会的にも大きな変動期にあたっていた。
まず、米国のベトナム介入が本格化し、六七年には「戦争」となった。 これを反映し、日本でも沖縄返還に端を発した国際反戦デ(六八年)、東大安田講堂事件に代表される学園紛争が日本中を吹き荒れた。

また、水俣病、阿賀野川水銀中毒事件(第二水俣病)、四日市大気汚染などの公害問題が深刻化し、政府は「公害対策基本法」を制定した。 企業の社会的存在に重大な疑問符が投げかけられ、「くたばれGNP」のスロガンがはやったのもこの時期である。
九・一%、五・一%である。 名目値に比べ実質値が低く、とくに七三年度が低いのが目立つ。
これは、当時のすさまじいインフレを反映したもので、ブームの大きな特徴となっている。 「列島改造ブーム」はその名の通り、七二年七月に成立した田中内閣が打ち出した「日本列島改造論」が発端となり、猛烈な地価と株価の上昇を招いた〃インフレ景気″だったことは、よく知られている。
しかし、ブームになる前から「過剰流動「列島改造ブーム」は一九七一年(昭和四十六年)十二月から七三年(同四十八年)十一月の二三カ月にわたった景気拡大期で、二年足らずの短い好況である。 景気基準日付では第七循環の景気拡大期にあたる。
第一次石油ショックで息の根を止められたが、これを境に日本経済は、高度成長から安定成長への〃先進国型〃に移行した。 短いとはいえ、この景気の性格を見ると、日本経済の体質的な問題を抱えていることがわかり、大いに研究に値する景気である。
ブームの期間(七二〜七三年度)の成長率は名目が一六・六%、二〇・九%・実質で後二十年間続いた一ドル=三六〇円から一ドル=三〇八円(スミソニアン・レート)に切り上げたのである。 しかし、一度、実勢に合わせて各国の通貨調整を終えたのもっかの間、通貨の混乱はこれで収まらず、七三年二月には再びドル売りが激化したため、先進国は再び次々と変動相場制に移行していった。
言い換えると、米国の絶対的な力を中心にした、いわゆる「戦後体制」は経済の面から崩れたのである。 これは当時の日本経済にとって大変な出来事であり、日本経済はこれで終わりになるという悲観論も盛んだった。

日本の為替市場にはドル売り円買いの投機資金が集中し、ニクソン・ショックの翌日だけで、平日の一〇倍にもなる六億ドルの出来高を記録、通貨の大規模な増発を招いたので性」というインフレの火種があったことにも注意が必要だ。 その背景になったのは、ベトナム戦争の激化などで米国にインフレが発生し、国際収支の赤字が累積、世界的な過剰流動性の中でドルの力が衰えていった点が重要である。
七一年八月、米ニクソン大統領は、金とドルの交換停止、一〇%の輸入課徴金、国内物価・賃金の凍結など、一連のドル防衛策を発榊表した。 同時に主要国に通貨の切り上げを要征求した。
いわゆるニクソン・ショックである。 欧州各国は為替市場を一斉に閉鎖し、再開間にあたっては変動相場制を採用。
日本だけが蝿市場を開けたままにしていたが、まもなく変塞動制に移行した。 同年暮れ、一〇カ国蔵相会議で各国とも対廼ドルレートの切り上げに踏み切り、日本は戦ある。
できるだけ円の切り上げを避けようとした政府・日銀の姿勢は、結果的にリスクヘの対応の弱さを見せつける結果となった。 当時、米国の赤字急増の裏返しである日本の対外黒字はふくらむ一方で、貿易黒字は七一年度八四億ドル、七二年度八三億ドルと急増していた。
「いざなぎ」のころの二〇億ドル程度に比べると、いかに黒字の規模が急拡大したかがわかる。 不均衡の是正には、内需拡大が重要になる。
輸出と設備投資に集中していた日本の資金を、公共事業を中心にした福祉社会の実現で是正するという考えが出てくるのは、ある意味で必然的なことだった。 「日本列島改造論」の生まれる素地は、すでにできていた。

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